「何よアイツ!あんなチキンのくせに私の綺麗な体に触れやがったのね!」

渚はさっきから怒り心頭だが、俺としては、さっさと取り調べが終わって嬉しい。

まぁ、結果から言えば、痴漢をしたオッサンは5分も持たずに罪を認めたのだった。まぁ、俺が少し大きい声出しただけで震えてたからな。

「あーあ。あのオヤジのせいで、せっかくの私の高校生デビューが台なしだよ。まぁ、裕也んと会えて良かったけどぉ…」

渚は、猫撫で声で俺を上目使いでみつめてくる。

『コイツはやばいぞ…』
俺の第六感が親切にも囁きかけてきてくれる。

このままじゃ、こいつのペースにどっぷりはまっちまう。

「俺、今から高校の入学式行くから!」

「どうせ今から行っても遅刻だよ。だったら私とイイことしようよ?ね?」

そんな甘い言葉とは裏腹に渚が俺の首根っこを掴む力は強くなっていく。

「いいから…離せ!」

「…そんなに私と一緒にいるの…イヤかな?」

しまった…。少し強く言い過ぎたか…。ていうか、その顔反則。可愛すぎ。

「べ…別にそういう…」

「…高校行くなら、私の執事達に送らせるから。待ってて?」

何だか後ろめたい気もするけど、俺は断じて悪くない。てか…執事?
あのぉ…もしかして渚さん。お嬢様だったりしちゃうの?