「おーっす裕也!」

朝練帰りの耕平と下駄箱のところでばったり会う。

「おっす。野球部も仮入部なのに朝練なんてご苦労なことだな」

「そういう裕也は、何か部活入るのかよ?」

「…どうも帰宅部になりそうだな」

自分で言っておいて、悲しくなる。だが、アルティメットに代わるスポーツ等あるのだろうか?

「お困りのようね?」

俺と耕平は、その声に反応して振り返る。そこには意外な人物が立っていた。

「あ、沙梨奈ちゃん!」

耕平は 完全に宮沢さんにメロメロだった。

「おはよう耕平くん。それで裕也君、やりたい部活がないんでしょ?」

「え…ああ…」

「だったら、作ればいいのよ!『アルティメット部』を」

あ…アルティメット部!
その言葉の響きに俺の胸は高鳴る。

「でも、人数足りんのか?それに先輩達がいい顔しないと思うぞ?」

「そ…そっか」

耕平の冷静な忠告に、俺はうなだれる。

「そんなの関係ないわ。作っちゃえば。確かアルティメットは七人いれば試合できるんだよね?」

「宮沢さん、知ってるの?」

「堅苦しいから沙梨奈でいいよ。まぁ昔かじった程度だけど…」

何だよ。榎本さんといい、みや…いや、沙梨奈といい、アルティメットはメジャースポーツなのか?