「裕也ーん!無事!?」

勢いよく俺にダイブして来たのは渚だった。

「な…渚?」

「盗聴器で聞いてると、どうやらピンチみたいだったじゃない。まだ莢未のこと引きずってるんだ」

「な!?」

突然来て、何でこいつは莢未のことを知っているんだ?

「私、知ってるよ。成澤 莢未。美咲程仲良くはないけど、一様友達だった……かな?」

さっきから驚くことが起こりすぎだ。ペンダント、莢未、榎本さん、渚、盗聴器。俺の頭は混乱していた。

「…渚、俺どうすればいい?」

「したいようにすればいい。決めるのは裕也んだから」

何故今更ペンダントが俺の目の前に現れた?何故、榎本さんは俺の夢の中に入って来れた?何故、渚は莢未を?さっぱり、答えが出てこない。

「渚、知ってるなら教えてくれよ!」

「こればかりは裕也んが自分から動かないとダメだよ。あの時と同じこと繰り返さないで…?」

渚の瞳が悲しみに染まる。そうだ、あの時も……俺が何もしなかったから
俺が向き合わなかったから、全部、終わってないんだ。だから今頃になって、苦しんでいるんだ。

「…ありがとう渚」

「それならもう大丈夫そうだね…」

渚がニコっと笑う。だけど俺はこれから先…本当に苦しんでいくことになる。莢未の死。榎本さんへの恋。いま、確かに
運命は動き始めたんだ。