「すいません。こんなごたごたに巻き込ませちゃって…」

「別にいいよ。入学式なんて退屈なだけだしさ」

ホントは出たかったが、こうも謝られると、怒る気力も沸かなくなる。

しかも俺は、というよりか男は可愛い女には滅法弱い。

「あの…お名前伺ってもよろしいですか?」

「え…?あぁ、俺は神代 裕也。今日から聖藍高校一年…」

「えっ…?タメなの!?私てっきり年上かと思ってたよ」

まだ最後まで言い切ってないのに…。しかも年上じゃないだと分かった瞬間にタメ口かよ。いったいどういう教育を…。

「私は川瀬 渚(カワセナギサ)。今日から上凪女子高一年生なんだ!」

なるほど…。
さっきの疑問が一瞬にして消し飛んだ。
上凪女子といえば、天下の有名私立高校だ。どういう訳か、上凪に入るのは頭脳明晰、容姿端麗と言う子が多い。

ようするに、天から二物も三物も与えられた女子が入る高校というわけだ。

「ね?もっと裕也んのこと教えて?」

ゆ…裕也ん?
何だか頭がクラクラするのは風邪というわけでもなさそうだ。

心なしか、パトカーの速度が遅い気がした。