最近になってまた見ることになった夢。俺と莢未が二人で仲良く歩いている夢。そこに車が突然突っ込んで来る。

『…危ない!!』

俺は莢未に手を伸ばす。しかし、毎回毎回俺の手は虚しく空を切るだけ。ただ車のクラクションだけが鳴り響く…。あの日から…何度この夢を見ただろうか?俺の時間は止まったままだ。

『ナゼ…マモレナカッタ?』

あの日の俺が涙を流しながら、俺を睨んでくる。俺は何も言い返せなかった。

『スキジャナカッタカラ』
やめてくれ…。

『サヤミハマダオマエヲマッテイルンダ』

『やめろぉ…!!』
夢の中で俺は叫ぶ。莢未は……莢未は……。

『……くん』

その時に俺の頭に直接話し掛けるように、聞こえてくる優しい声…。

「神代くん!!」

その声を合図に、世界が切り替わる。さっきの真っ暗な世界とは打って変わって、眩しいくらいの白い世界だった。