「どうしたの?」

たじろいでいる俺を不思議に思ったのだろう。榎本さんは、俺の顔を覗き込んで来た。俺は顔が赤いのを隠しつつ、さっきの理由をそのまま言うことにした。

「…ふーん。マイナースポーツかぁ。あれ…スカッシュとか、ラクロスとか?」

「へぇ…榎本さん、結構知ってるんだね?」

「私、結構スポーツオタク何だよ?大概のスポーツはやったことあるよ」

意外だな…。俺の勝手な印象を言わせてもらえば、榎本さんは文化系のイメージがあった。

「じゃあ彼氏も運動出来る子が良かったり?」

「あ、これとそれとは別だよ?って話逸らそうとしないでよ。ね?教えて?」

やっぱ可愛い子はズルイ。こんな顔されたら教えない訳には、いかないじゃんか…。

「アルティメット…」

俺がそう言うと、案の定榎本さんは首を傾げている。自称スポーツオタクの榎本さんだって知らない競技に、俺は三年間汗を流して来たのだ。こうなるのが嫌だったんだ。

「アルティメットかぁ。あれってファールって自己申告制なんだよね?」

「そうそう。だから紳士のスポーツって呼ばれて…。って榎本さん知ってるの?」

俺は思わず聞き返した。すると、榎本さんは小さくない胸を張って、自信ありげに答えた。

「知らないって言った覚えはないけど?」

そう言って笑う榎本さん。うん、認めよう。この人スポーツオタクだ。俺は、部活紹介が終わるまでずっとアルティメットについて榎本さんと話していた。