「それでは、今から部活紹介を始めます。各部活は準備に取り掛かってください」

全員が体育館に収まったのを見て、司会を務める先生が部活紹介の始まりを告げた。
テニスはミニラリー、バスケはフリースロー、サッカーはリフティングなど、様々な部活がありきたりのパフォーマンスを交えながら一生懸命に説明していた。しかし、今までを見る限り俺の興味を惹く部活はないようだ。

「ふぁ…」

思わずあくびが出てしまう。俺は、慌ててあくびを隠して、耕平に視線を走らせた。耕平は野球部の説明の時は熱心に聞いていたが、今は気持ち良さそうに眠っている。こいつは、興味のあることに対しては、真剣に聞くが、興味のないことに対しては、どこ吹く風らしい。だけど、やりたいことのある耕平が、俺は少し羨ましかった。

「暇そうだね」

突然榎本さんに話し掛けられた為、俺の心臓は飛び上がった。

「そっちこそ……」

俺が冷静を装って言葉を返すと、榎本さんは頬を膨らませた。

「だってパッとする部活がないんだもん。神代君は中学の時は何かやってたの?」

俺は答えに窮した。確かに…俺は中学の時は三年間運動部に在籍していた。そのスポーツはとても楽しかったし、試合でもそこそこ勝てた。だけど…結構マイナーなスポーツなのか知らない人もたくさんいる。だから言いづらかったのだ。