「神代、お前今日掃除な」

頭に血管を浮かばせながら猪頭が俺に宣告してくる。

「そんな…理不尽な…」

「一週間に延ばされたいか?」

猪頭は俺に反論の機さえよこさなかった。

「…すいません」

俺が大人しく謝ると、さっきとは違ってクラスに大きな笑い声が響いた。
ったく…人事だと思いやがって。

「んじゃ、遅れないように体育館に集合しろよ」

猪頭はそう言うと、さっさと教室を出て行った。これからもこの先生とは因縁が着きそうだな。

「…神代くん。ごめんね?私が話し掛けたから」

「気にすんなって」

全く、何て性格の良いお嬢さんだ。どっかのお節介お嬢様とは違うな。

「ぷっ…」

ん…?今、笑ったのは…
宮沢さんか?今頃笑うなんて…あの人少しズレてるんだな。宮沢さん本人も慌てて、笑いを隠している。

「裕也、ボヤッとしてないで体育館行くぞ」

「…おおっ、悪い悪い」

俺は耕平と共に体育館へと向かった。