「あなたは…？」

「へ？」

突然、声を掛けられたので、昨日に続いて間抜けな声をあげてしまった。宮沢さんは口元を手で抑えて笑っている。

「だから、あなたは私に聞かなくていいの？」

「うん。ただこいつの付き添いで来ただけだから」

それにしても宮沢さん…
耕平が可愛いというだけのことはあるな。

整った顔に、肩までの茶色い髪、そして抜群のスタイルの良さ。だけどその中でも特筆すべきはぱっちりと大きな瞳だ。

見ている者の心を見透かすような綺麗な色をしている。

そうだ…。この瞳…絶対どこかで…

「私の顔に…何か付いてるかな？」

いつの間にか、俺は宮沢さんの顔をまじまじと見つめてしまっていたようだ。宮沢さんは若干、頬を赤く染めている。

「ご、ごめん！その…どっかで前に会わなかったかなぁ？って思っただけだから……」

「……気のせいじゃないかなぁ？」

俺は、未だに疑問が晴れなかったけどニコニコ笑う宮沢さんを前にしては、初対面だと思うしかなかった。

「うん、初対面だよ！じゃ、これからよろしくね。神代君！」

宮沢さんはそう言って、綺麗な左手を出した。

これって握手…だよな。

俺は、いつもより妙にしっくりと来る握手を交わしてから耕平と共に、席に戻った。