「…うわぁ」

「凄いでしょ?もしかして初めて見た?」

榎本さんは俺の反応を見て、何だか得意げだ。

この地の名前が星見ヶ丘と呼ばれるのにも納得だ。空には満面の星が所狭しと敷き詰められていた。

「ここ星見ヶ丘はね?日本で一番星が一番綺麗に見えるんだよ!」

榎本さんはそう言って、芝生に寝転がる。

「神代君も突っ立ってないで寝転がりなよ?
気持ちいいよ?」

榎本さんにそう言われて、俺は遠慮がちに腰を降ろした。

「…ごめんね?急に誘ったりしてさ」

「ううん。平気だよ」

俺達が、今ここで星を見てるのは理由がある。それは電車の中での話だった。

『何で星見ヶ丘っていうか分かる?』

榎本さんが突然言い出したのだ。俺が『分からない』と言うと、榎本さんは目を輝かせて言ったのだった。

『じゃあさ!教えてあげるからさ、ちょっと付き合ってよ!』

そして今に至る訳だ…。

「私ね、この場所大好きなの。悩みがあったり、嫌なことがあった時は、いつもここに来てた」

俺はどう反応すればいいか分からず、曖昧に頷いた。

「ここに来るとね…自分の小ささに気付くんだ。くだらないことで悩んでたりして、馬鹿みたいってさ…」

確かに、この空を見てると悩みなどどこかに吹き飛んでしまうだろう。
一体…榎本さんは何が言いたいんだろうか…?