「ふー買った買った!」

渚は終始ご機嫌だった。
その分俺は、渚の分の服だけで両手が埋まっていた。

「そんなに元気なら自分で持てよ…」

「ん?大丈夫。私はもうすぐパーティーに出席するから。その時に一緒に車に乗せるから」

パーティー?

「渚?お前帰るのか?」

そんな話こっちは一言も聞いてない。榎本さんも困惑したような顔だった

「あ、ゴメン。そういえば言ってなかったね?私はこのままパーティーに行くからさ!」

「じゃあ俺と榎本さんはどうすれば…?」

すると、渚はニヤニヤしながら俺の肩を叩いた。

「美咲は裕也んが煮るなり焼くなり好きにしちゃっていいよ?」

「渚!」

榎本さんの顔が真っ赤に染まる。煮るなり焼くなりか。それもそれで…。

俺がそんな馬鹿な妄想の世界に浸っている間に、今朝見たばかりの黒い車が止まっていた。

「ばいばい二人とも!ちゃんと避妊はするんだよ!」

「は!?」

俺が文句を言う間もなく、渚はあっという間に俺の視界から消えた。

あいつ…今度会ったら覚えてろよ…。

「神代君…?その…
どうしよっか?」

榎本さんの言葉に、事の重大さに気付かされる。

今、二人きりじゃん!!