「……裕也ぁ!」

私はその場で泣き崩れる。 涙が止まらない。裕也は……裕也は、こんなにも私のことを……。

「美咲、いい名前じゃないか」

お兄さんは私の肩に手を置いてくれる。何だかとても心強かった。

「彼氏さんの願い、叶えてあげなきゃな」

私は涙を拭く。だけど、拭いても拭いても涙が溢れ出してくる。

止まってくれない。笑いたいのに、笑えない。裕也が温か過ぎて、笑えない。

「美咲、何で俺が君をあの川から助けられたと思う?」

私が分からないと首を振ると、お兄さんは私の左手と右手の薬指にはまっている指輪を指差して、笑った。

「あんな深い水底で、小さいけど、確かに光り輝いてたんだよ。その指輪がね。何事かと思ったら、人が流れてるじゃないか。幸い、発見が早くて君は助かった。いや、助かってしまったかな?」

「ううん。助かった…。助けてくれて、ありがとう」

たぶん、この出来事も太陽の光が指輪に反射したからだと思う。だけど、私は裕也が助けてくれたんだと思う。

「……もう大丈夫だろ?彼氏の為に、生きていけるだろ?」

私は、お兄さんの言葉に力強く頷いた。

するとその時、小屋の扉が勢いよく開かれた。それと同時に何かが私に抱き着いて来た。