私の目に、光が差し込んでくる。私は、恐る恐る目を開ける。

「……おい、大丈夫か!?」

……私は、助かってしまったんだ。

「……何で、助けたんですか?私、死にたかった」

バチン…!
頬に熱くて、強い衝撃が走る。だけど何も感じない。生き延びてしまった自分が、ただただ憎かった。

「お前さんにも、大切な人はいるだろう?」

「……一番大切な人が、私の前から消えてしまいました」

よく見たら、助けてくれたお兄さんも、体がずぶ濡れだ。

「……お前さん。どっかで見たことあるなぁ…」

お兄さんはそう言って、私の体をじろじろ見てくる。私は今体が濡れて透けちゃってるからあんま見られたくないんだけどな……。

「もしかして、笹の葉流しに参加したかい?」

「……ええ、そうですけど」

「……そうか。なら、君に見てもらいたいものがあるんだ」

「……見てもらいたいもの?」

「たぶん、その大切な人との思い出がつまってるものだ」

お兄さんはそういうと、私の返事も聞かずに歩き始めた。私は、どうするか迷ったが、着いていくことにした。何故か、着いていかなければいけないような気がしたんだ。