……変わらないなぁ。私は今、星見川をぼんやりと眺めていた。七夕の日、あなたと二人で流した願いごと。あなたは恥ずかしがって教えてくれなかったよね?

何て書いたんだろう…?

星見川の水面に映る、短い髪の私に尋ねたけど答えなんて出るはずもない。

やっぱり、いくら強がっても思い出は消えてはくれなくて……。お祭りの時にあなたが言った『綺麗だよ』の言葉を忘れられません。

私は星見川を伝って、ゆっくり、ゆっくり歩いていった。あの時、あなたと一緒に歩いた歩幅と合わせて……。

『裕也、私もう少し早く歩けるよ?』

『浴衣着てるくせに、何言ってんだよ。別に気にすんな。ゆっくり行こう』

水滴が一滴、星見川に落ちて水面を揺らした。それが、私の涙だと分かるのに、時間はかからなかった。

裕也……。私はあなたから光をもらいました。だけど、一番見たかったものがありません。

あなたの姿が、ありません。

私は、歩くことをやめて座り込んで、泣いた。

「私は……あなたさえいてくれれば……目が見えなくてもよかった!」

あなたがいてくれれば、目が見えなくても、それが最高の景色だった。

「…逆にね?あなたのいない世界に、未練なんて何もないんだよ」

私は、星見川に足を踏み入れた。昨日の大雨で増水していた川は、たやすく私の体を飲み込んでいった。

水の感触が気持ち良かった。

これで、いいんだよ。

私、あなたに会いに行ける。私は、久しぶりに心から笑えた気がする。

私の意識は、深い闇に堕ちていった。