「沙梨奈ちゃん。美咲ちゃんのことホントに知らないの?」

「うん……。どうしちゃったのかな?あの子……」

私は耕平君に言われて、美咲がいるはずの席を見る。そこには、二つ仲良く並んだ空席があった。

「……榎本が初日から休みとは珍しいな」

「……ここには、裕也君と過ごした思い出が沢山あるから、辛いのかな?」

美咲とゆーちゃんはここで出逢った。お互いが一目惚れ。そこに私が付け入る隙はなかった。

「美咲ちゃん…お葬式の時は元気にやってくって言ったのに……」

美咲は、ゆーちゃんのお葬式の時にハサミを持って来たの。私達は青ざめた。まさか、美咲はゆーちゃんの後を追って……。

ジョキン……!!

会場にハサミの音が響いた。私は、慌てて美咲を見る。

『……この髪も一緒に燃やしてくれませんか?』

美咲の手の中には、流れるような長かった美咲の髪の毛があった。

『裕也一人じゃ可哀相だから…』

その時の美咲は、どこか吹っ切れたような顔をしていたのに……。

「裕也、きっと嬉しかっただろうな。ずっと俺に自慢してたんだぜ?美咲の長い髪、ホントに綺麗だよなって」

「はは。裕也は美咲をホントに大事にしてたからな」

……!しまった。

「耕平君、やっぱり私、美咲探しに行ってくる!!」

「おいっ、美咲ちゃん!?」

馬鹿だ……。
私はなんて馬鹿なんだ。

まだ、あった。

ゆーちゃんから、美咲へのメッセージ。

あなたが恥ずかしくて、言葉に出来なかった、メッセージ。

今、伝えに行くよ。