「でも…この子、言ってたじゃない。『辛い』って……。皆の重荷になりたくないって……」

お母さんの言う通りなのは分かる。だけど…!それはもう裕也との永遠の別れを意味していて……。

「……美咲。もし、美咲が裕也だったらどうする?」

お母さんの言葉に私は、ハッとした。私が裕也の立場だったら、私は自ら死を望むだろう。目もあげるだろう。だって…

「私は裕也の彼女だから」

そうだ……。彼女だからこそ、裕也の最期を看取らなきゃ……。私は眠っている裕也の手を握った。

「……わ、わたしは…」

何か伝えなきゃいけないのは分かってる。分かってるのに……涙で前が見えなくなって、言葉も出てこなくなる。

「美咲、頑張って!」

渚が私の右手をギュッと握ってくれた。ううん、渚だけじゃない。莢未も、陽菜も、大地君も、耕平君も…義母さんとお義さんも、そして私の両親も手を重ねてくれた。

「お兄ちゃんを温かく見送ってあげてよ……」

陽菜のお願いに私は頷いた。私は、涙を急いで拭って、呼吸を整える。