「裕也ん!これどう?」

「似合ってるよ」

さっきから何度めのやり取りだろうか?渚が次々に着る服に対して、曖昧な返事をする俺。
そして、それを微笑ましく見守る榎本さん。

「じゃあ次の服に着替えるね!」

一体いつまで見るんだよ…。さっきからお前一人で30分くらいは試着室独占してるんだぞ?

「神代君はお疲れかな?」

「え…榎本さんは疲れないの?」

突然の榎本さんの言葉に、詰まりながらも何とか返せた。

「私は慣れちゃったよ。毎回毎回こんな感じだもん」

そう言ってニッコリ笑う榎本さんの瞳はやっぱり綺麗で…。俺は思わず目を逸らしてしまう。

すると、気の性だろうか。榎本さんの顔が曇っていってしまった。

「…神代くんって私のこと嫌いかな?」

「へっ!?」

榎本さんのありえない質問に、俺は思わず声が裏返る。俺、何かしたかな?