手術の費用は、渚と莢未が出してくれることを聞いた。私の両親は、何度も何度も、皆に頭を下げていた。

「美咲、ゆーちゃんの目大事にしてあげるんだよ?」

莢未が優しく私に言う。

「……アイバンク入ってたんだ。裕也って……」

「私もあなたと同じ病気だったからね……」

「………え?」

そんなの初耳だ。私はこれ以上はないという程に驚いた。

「ま、視力を無くす前に顔変えたから、目も他の人のに変わったんだけどね。そして瞳の色はカラコン入れて前と一緒にしたんだけどね……」

「じゃあ何で……裕也をアイバンクに入れたの?」

「……入れたっていうか自分で入ったの。あいつ、お人よしだからさ。人の役に立ちたいってさ」

「あは、裕也らしいね」

私は思わず笑みを零した。

「……ダメだ。読めない」

「へ?」

莢未は頭を抱え込んでいる。一体どうしたの?

「……心、読めなくなっちゃった」

「え……?」

「多分、この力は、ゆーちゃんの気持ちを伝えるために授かったんだね。それで、役目を終えて消えた、と……」

確かにあの時……。
莢未が心を読めなかったら、裕也の気持ちが私に届くことはなかった。

「莢未、ありがとう」

「いいって、手術明日でしょ?頑張りなよ?」

そう、手術は明日。
私の目が光を取り戻す日。そして、私の永遠の光、裕也の命が消える日。

その日、私は色んなことを考えて眠れなかった。未だに分からなかっんだ。この選択が正しいのかどうかが……。

「……裕也」