「だけど、お前には、俺以外にもお姉ちゃん達がいるだろ?」

「……」

お姉ちゃん達……。きっと裕也が言っているお姉ちゃん達ってのは私と莢未のことだろう。

「陽菜、私がずっと……裕也の代わりに……」

「美咲、何言ってるの?お兄ちゃんの代わりなんていない……。お兄ちゃんの代わりなんて……」

「……陽菜、お前は俺の自慢の妹だ。お前なら、俺の妹なら、もう大丈夫だ」

「お兄ちゃんの妹……」

「そうだろ、陽菜……?だから泣くな。お前の泣いてる顔は見たくない」

「馬鹿にぃ……誰のせいで泣いてるって思ってるの?」

陽菜は、相変わらず泣いてる。悲しくない訳がない。私が、裕也を奪ってしまったから……。

「……私、頑張る。お兄ちゃんの妹らしく……頑張るから……お兄ちゃんも頑張ってよ……!ねぇ…!!」

「陽菜、俺にはやるべきことがもう一つあるんだ。美咲に………え?裕也、それ…。うん……。そうだね……。私が裕也だったら、間違いなくそうしてたよ」

「沙梨奈ちゃん、伝えないと。美咲ちゃんも困ってるよ」

耕平君が苦笑する。莢未は裕也と話せるからいいけど……。私は……。私は、裕也と話せない。

「……美咲。俺、言ったよな。『俺がお前の瞳になる』って」

「裕也……」

私ね。そういう意味で、あの言葉言ったんじゃないんだよ……。