「美咲ちゃん、私は今、あなたの具合を聞いたのよ。裕也じゃない」

「……だけど」

「あのね、裕也が連れて来た女の子は皆私の娘同然なんだから!ちゃんと答えなさい、美咲!!」

裕也のお母さんは、口調は厳しくなるものの、やっぱりその言葉には温かみがこもっている。

「……光が見えなくなりました」

「そう……」

裕也のお母さんは柔らかい布で私の顔を拭いてくれる。

「美咲ちゃん、私たちは君のことをちっとも悪く思ってないんだよ」

「…あなたは?」

裕也のお母さんと違って厳しそうな声が聞こえて来た。同じなのは、言葉が温かいということ。

「ああ、申し遅れたね。私は、裕也の父だよ」

「……お父さん」

「美咲ちゃん、自分のせいで裕也はああなったと言うが、それは間違っている」

「……え?」

「男の裕也がああなったんだ。女の美咲ちゃんだったら、きっと一たまりもなかっただろう。女を守れない男なんて俺が殺していたよ」

そう言って、裕也のお父さんは豪快に笑った。