「…ねぇ」

「分かった。美咲ちゃん。落ち着いて聞いてくれよ」

耕平くんも泣いてる…。
私は、やっぱり聞くのが恐くなった。だけど、聞かなきゃ、何も始まらない気がしたんだ。

「裕也は、君を庇って車にはねられた。車は発車したばかりだったから……そこまでダメージはなかったんだけど……その……打ち所が悪くて……脳死状態なんだ」

「……嘘、嘘だよ。そんなはずないよ……」

「美咲ちゃん、これは事実なんだ!!」」

私は、真実を受け入れたくなかった。私は裕也の手をギュッと握る。

「ほら!手だってこんなに温かいんだよ!皆、冗談はやめ……」

……皆が、嘘を付いていないことは、私が一番分かってる。だって、皆、泣いてる。

「ほら、裕也。早く何か私を安心させること言ってよ!裕也!ねぇ、裕也!!」

私は裕也の手を思いきり揺らす。

「美咲、やめて!」

「裕也、裕也ぁぁ!!」

私は、泣いた。体の水分が全部失われるんじゃないかって言うくらい泣いた。

この日、私の目から光が消え、耳からは、あなたの声が消えた。だけど、手からは未だにあなたの温もりが伝わってくる。

生きてる、っていう鼓動が痛いくらい伝わってくる。

「美咲、奇跡信じよ?きっと裕也んはまた起きてくれるよ!!」

渚はそう言うと、私を温かく抱きしめてくれた。

「そうだ。脳死とは言っても、まだ希望が終わったわけではない」

「むしろ、これからだぜ?裕也起こすのは、美咲ちゃんの役目だからな!」

「そう。それは美咲にしか出来ないんだから!!」

「お姉ちゃん、お兄ちゃんを頼んだよ……?」

ねぇ、裕也。こんなにも皆があなたを待っているんだよ。だから、目を醒まして……?

私、あなたがいないと、生きていけないよ…。