「そっか、莢未がそんなこと……」

肝試しから戻った美咲に遅くなった理由を聞いたら、耕平が莢未に告白したからだと言った。

「私、恋ってずるいと思うな」

「何だよ急に?」

「だってさ、こんなに人を悲しませたり、喜ばせたり、焦らせたりしてさ。一体、何がしたいんだろうね?」

美咲はそう言うと、おもむろに服を脱ぎ出した。

「ばっ……お前、何してるんだ……」

「今、裕也はドキドキしたでしょ?ほら、色んなことさせるでしょ?『恋』ってのはさ」

「分かったから、服着ろよ、早く」

「いいじゃん。もう裸見たんだから」

そう言う美咲だが、やはり恥ずかしいのだろう。手際よく服を着ていく。

「恋って何色なのかな?」

「人それぞれだろ」

俺が興味ない風に、美咲に返すと、美咲は頬を膨らませた。

「夢ないねぇ、裕也は」

「阿保、通訳っていう立派な夢があるんだよ」

「通訳か、私には無理な仕事だね」

美咲は手を肩の高さまであげる。確かに、2では厳しいだろうな。

「じゃあ、裕也。今、私の体が思ってること、通訳してみて……?」

美咲は服のボタンをずらしながら上目使いで俺を見てくる。

「……いいんだよな?」

美咲が頬をうっすら染めて、頷いた。俺と美咲が唇を合わせようとした時だった。部屋のドアが勢いよく開いた。