莢未の希望により、私は莢未を海岸へと案内した。たぶん、耕平君のことを考えてるんだろう。そこには、砂浜に足を伸ばして座っている耕平君がいた。

「……はぁ」

「耕平君……」

私と莢未は岩影に隠れて、こっそりと様子を伺うことにした。

「……何で俺は沙梨奈ちゃんを好きになったんだろう?」

耕平君の言葉に、莢未の顔は一気に赤くなった。

「裕也と美咲ちゃん。大地と渚ちゃん。ホントにお似合いだよな。それに比べて俺は……」

耕平君はしばらく空を見上げてから、砂浜に手も伸ばして寝転がった。

「……何もない男だな。でも、好きなんだ。君のこと」

私はちらりと莢未を見る。だけど、さっきまでそこにいたはずの莢未の姿はなかった。