「心を読めるってのも、酷なものなんだね?ゆーちゃんの心は、あなたで一杯だった」

「え?それって……」

「ゆーちゃんはあなたに、一目惚れだったんだよ?」

私は莢未の言葉に昔を思い返す。あの日、教室に裕也が倒れ込んで来て…『誰だろう?』って思ったら、『榎本って誰?』って聞いて来て……。

「そう、そこで初めてゆーちゃんと目が合って、裕也はあなたの瞳に恋をした」

莢未が悲しそうに呟く。

「なんか面白くなくて、ペンダントを落としたりしてみた。それでも、ゆーちゃんはあなたを選んだ。だから、私はあなた達を応援する」

そう言うと、莢未は右手を出してくる。私は、無意識にその手を握った。

「ゆーちゃんを任せたぞ、親友!」

莢未はそのまま私を抱きしめてくれる。何故だか、その温もりは裕也に似ていた。

「ちゃんと愛してあげるんだぞ!美咲っ!」

その後に、莢未が小さく呟いた一言、聞いちゃいました。ううん、聞こえちゃったよ。

「……私の分まで」

「……任せて」

私と莢未は微笑みあった後、ルートを別荘から、海岸へと変えたんだ。何でか分かる?