「はい、それでは肝試しのコースを発表致します!!別荘の周りを右周りに一周するコース、同じく左周りに一周するコース。海岸沿いを回るコース、山道コース、の四つから選んでもらいます!!」

一番、分かりやすそうなコースである別荘を回るコースだけでも三十分はかかりそうである。

怖がりの美咲はさっきから微かに震えている。

「じゃあペアは、くじを引いて決めたいと思いまーす!じゃあまず……」
「すっげー楽しそうだな!じゃあ俺から回ってくるわ!」

「ちょっと、耕平君!」

莢未の制止の声も耳に入らないのか、耕平は実に楽しそうに海岸沿いのコースへと一人で臨んだ。

「……じゃあ残った六人で、くじを引いて……」

「沙梨奈、行こう?私、あなたに話があるんだ」

「えっ…ちょっと美咲!!」

美咲も莢未の手を強引に取って、別荘右周りコースヘと続く道を走っていってしまった。

「……じゃ、残った四人で……」

「川瀬、俺はお前に聞きたいことがあるんだが」

大地は、そう言うと渚の返事を待たずに、引きずるようにして、山道へと歩き始めた。……となると俺の相手は……。

「……はずれくじが残ったか」

陽菜の心底嫌そうな視線を浴びて、俺はこっちのセリフだと言い出したかった。

「ま、とりあえず行こうか?ううん、いってあげるよお兄ちゃん」

こうして、俺と陽菜は別荘を左周りするコースへと臨むことになった。