「つ…疲れた……」

最後のパスを受け取ったと同時に、俺は砂浜に倒れ込む。もう、何試合やったんだ?

「た…確かに疲れたよね?そろそろ戻ろうか?」

「もう少し!」

渚の提案を、莢未と陽菜が退ける。この二人の特別な力“心”を読む力と“風”を読む力は試合中も何度もぶつかりあっていた。しかも、お互いに負けず嫌いな二人。一歩も引かない。

「じゃあ、俺が審判として残っててやるから皆は先行ってていいよ?」

「流石、裕也ん!!じゃあ美咲、私たちはお風呂はいろっか?」

お…お風呂。少し俺の頭を邪(よこし)まな感情が過ぎったが、莢未に読まれると軽蔑されるのですぐさま、頭からその考えを取り除いた。

「じゃあ裕也、俺らも先いってるわ」

大地と耕平もパラソルやテーブルなどの荷物を持ってひきあげていく。

「沙梨奈!次、行くよ!」

「来い、陽菜!」

果たしてこいつらはいつまでやっているんだか……。日は海に沈みかけていた。