「裕也ん遅いよー!」

渚が頬を膨らます。

誰のせいでこんなに遅くなったと思ってるんだよ。渚の荷物が一番重かったんだからな。俺は心の中で渚に悪態をつく。

「あ、渚。今裕也君ね…」

いらぬお節介を沙梨奈は焼く。多大な脚色を加えて俺が今思ったことを渚に伝える。

「沙梨奈!!」

「へぇ……裕也ん。いい度胸じゃん?」

渚はもう見るからに怒っていた。だけど、今のは沙梨奈がほとんど言った悪口だからな。

しかし、それを知らない渚は、俺に水をかけてくる。

「冷たっ!!」

俺がそう言うと、耕平と大地も悪ノリして俺を海に沈めてくる。もちろん、俺はまだ水着に着替えてない。

「てめぇら……何やってんだよ!つっ……!」

俺が反論しようとした時、俺の顔をビーチボールが直撃した。

「顔は五十点」

陽菜が何やらぶつぶつ呟いて、美咲からビーチボールを受け取る。

「おい、お前ら待て!良く胸に手を当てて考えてみろ!俺が何かしたか?」

俺がそう言うと、みんなはこれ以上はないって程の笑顔を浮かべて、言った。

「ノリ!」

だけど、そんな馴れ合いも楽しいもので、気付けば俺は美咲に魅せようと思って買った私服がびしょ濡れになっているのにも関わらず、みんなと遊んでいた。