「…すっげぇー!!」

耕平が荷物を放り出して砂浜に駆け出す。耕平が驚くのも頷ける。絵に描いたような白い砂浜と青い海が俺達の目の前に広がっていた。

「じゃ、男どもはこの荷物をあそこの別荘に運んどいてね?美咲、沙梨奈、陽菜。行こう?」

渚はそう言うと荷物をその場に置いてから砂浜に走りだした。他の女性陣もそんな渚につられて笑顔で走りだした。

「……おーい渚!こんな沢山の荷物俺達で持てる訳無いだろ!」

女の荷物は重い。二泊三日という短い期間なのに何故、こんなに物を持ってくる必要があるのだろうか?

「ったく、間違ってるよな?」

俺は大地と耕平に同意を求める為に振り向いたが、すでにそこに二人の姿はなかった。

「裕也、俺実は腰が痛くてさ!よろしくな!」

「裕也、俺も昨日の夜に腕の骨にヒビが入っていることが判明してな…。悪いが、頼む」

遥か前から耕平と大地の言い訳が聞こえてくる。そして二人は女性陣の為に、シートを敷いたり、パラソルを立てたり一生懸命に動いている。

「おまえら覚えてろよ!!」

俺が諦めて皆の荷物を持とうとした時だった。後ろから、俺を呼ぶように小さくクラクションが鳴った。

「裕也様、この車にお荷物をお乗せ頂ければ私が渚様の別荘までお運び致しますよ?」

そこには、前に俺を聖藍高校まで送ってくれた執事さんがいた。

「ほ、ホントですか!」

俺には執事さんが神みたいに見えた。

「じゃあ、お願いします!!」

俺は車に荷物を詰め込んだ後、猛然と砂浜にダッシュした。