「……だけど美咲が受け入れてるんだ。だから、最後に何か心に残る、思い出せるような色を塗ってやりたいんだ。もちろん、莢未の色も必要だ」

俺がそう言うと、莢未は何かを考えてる様子だ。ちょっとしてから、やっぱりお手上げといったように口を開いた。

「…私の色って何色かな?」

「黄色。月のように、時には星のように皆を見守る色、じゃないかな?」

「…じゃあ美咲と陽菜は?」

「陽菜は、赤だな。感情の起伏が激しいからな。あいつ。美咲はピンクだな。可愛いから」

渚は、紫。
耕平は、黒。
大地は、青。
莢未は、黄。
美咲は、ピンク。
陽菜は、赤。
沙梨奈は、緑。

これらの色でいったい、美咲に何を見せてやることが出来るだろうか?

「……ゆーちゃんは?」

「俺は、俺さ」

「…馬鹿みたい」

莢未はそれだけ呟くと、目を閉じて、眠ってしまった。

「俺の色は……」

自分が一番分かってる。だからこそ言わない。それがいいんだ。

それしか、ないんだ。