「お久しぶり、ゆーちゃん!可愛らしい彼女さん!」

「えっ……?莢未?」

画面に浮かんだのは、事故に遭う以前の、俺が付き合ってた頃の顔の莢未だった。

「何で彼女がいるって分かるかって?だってゆーちゃんにこんな仕掛け分かんないでしょ?」

画面の中の莢未はケラケラ笑う。あいつはいつも、俺の頭の悪さをネタにする奴だった。

「まぁ、ゆーちゃん達がこれを見てるってことは、もう全部知った頃なのかな?ごめんね、ゆーちゃん」

俺は一瞬ドキッとした。
謝る時の『ゆーちゃん』のイントネーションは微妙に違うのだ。

「私は今日、確かにゆーちゃんから愛を受け取ったよ?だから私ね、何も怖くない」

良く見ると、莢未が話しているのは俺の部屋だ。きっと、莢未が消えた前日の日に撮ったのだろう。

「私と、ゆーちゃんの間には色々と障害がありすぎたよ……。私だって、ゆーちゃんと…もっと長く一緒にいたかったよ」

「……そんなこと言うなよ」

俺は画面上の莢未に思わず呟く。当然、返事など帰ってくるわけもない。

「ゆーちゃん、本当に好きでした。ありがとう」

莢未はそう言うと、ペコリと頭を下げた。目には光るものが見えた。

「俺だって……好きだった」

「ゆーちゃん、新しい彼女と幸せになってね?だけど……私が口酸っぱくして言った“あのこと”忘れちゃダメだよ?」