「懐かしいなぁ…。あ、この莢未可愛いな。携帯に貼っと……」

俺が全て言い切る前に、美咲は俺からケースを奪い取って、左に投げた。

「今の彼女は、わ・た・し!だから、必要ない!」

「でも…」

「文句あんの?」

「ありません……」

俺は美咲に逆らうことが出来なかった。正直な話、渚達に勉強を教えてもらったというのも、美咲には隠している。

「……きっと嫉妬してるだけだよ、美咲」

陽菜が俺に小さく耳打ちしてくる。美咲を見ると、さっきのケースを、こっそり右側に置いていた。

「……美咲」

俺の声には反応せず、美咲は手を動かし続けた。左、左、左、右、左…。

右…?おれはこっそり右に分別したものを見た。それは、俺と莢未の2ショット写真だった。

俺と陽菜は目を合わせて笑った。

「可愛いとこあんじゃん」

「……だったら私のことも大切にしてよね?」

その後も、大掃除は続いてた。だけど、三人の間には温かい空気が流れていた。