「しっかし、裕也もよくここまで汚せたね?」

美咲はさっきから、左側と右側に物を分けていってる。

「……美咲。さっきから何で左と右に物を分けてるの?」

「左がいらないもの、右がいるもの」

しかし、その割には美咲の手は淀みなく左側に物を置き続けている。

「……左多くない?」

俺がそう言うと、美咲はニッコリ笑ってから、凄い形相で俺を睨んで来た。

「じゃあ聞きますけど、針のないコンパスや、目盛りの読めない定規とかは何に使うんですか?」

「すいません」

美咲の迫力に俺はすっかり押されている。だが、その時、美咲が手にしたケースに目がいった。
あのケースは…。

「美咲、それ貸して?」

美咲からそのケースを受け取った俺は、中から小物やらプリクラを取り出す。

これは、莢未との記念日に莢未が作った小物やら一緒に撮ったプリクラを大切にしまっていたケースなんだ。