「裕也君、陽菜ちゃんも誘っておいてね?」

「あいつも…?」

「いいじゃん裕也。陽菜も誘ってあげようよ」

誘ってあげたいのはやまやまだが、美咲といると、陽菜は張り切るからな……。

「裕也、分かった?」

「はい、分かりました」

だけど、美咲に逆らえない俺がいて…。何だか少し情けないかもな。

「じゃあ、陽菜の件はOKとして…。後はあれね。美咲はいいとして、問題は裕也君よ」

ビシッとペンを俺に向ける莢未。

「…俺がなにか?」

「裕也くん、パスポート持ってる?」

…おい。別荘って、海外なのか?

「そうだよ裕也くん。太平洋上に浮かぶ島を、川瀬家が買い取ったのよ」

マジかよ……。何てスケールのでかさだよ。てか心を読まれたか?

「うん。だからさっきの美咲の妄…」

「沙梨奈!!」

俺は慌てて沙梨奈の口を塞ぐ。ったくこいつは、何を言うかと思ったら。

「裕也、仲良さそうだね?」

ニコッと笑う美咲。だけど、握る右拳はわなわなと震えているような…。

「沙梨奈、じゃあまた後でね?さ、裕也行こうか?」

その後のことは、思い出したくない。