「で、お前はどうしたんだ?」

「俺は莢未とは別れ……ふがっ!」

「うぃーす大地、裕也!おはよーさん!」

俺は後ろから走って来た耕平に口を塞がれた。

「んで……お前らは何の話してたんだよ?」

「あぁ、莢未のな」

「なあなあ!夏休みに海行かないか!?沙梨奈ちゃんの水着姿見たいし、裕也だって、美咲ちゃんの水着姿見たいだろ?」

自分から何の話をしたのか説明しろって言っておいて、勝手に自分の話始める耕平。

「……ったく少しは話を聞け」

大地も呆れ気味だ。てかなぁ…!

「いい加減離せ!」

俺は耕平のみぞおちに肘を叩き込む。さっきから苦しいんだよ……。

「悪い悪い!」

その後も、俺達は噛み合わない会話を楽しみながら学校に行った。

そんな二人を見ながら俺は思うんだ。

知的で深い知識を持つ大地は、落ち着いた青。

我が道を行く、何色にも染まらないマイペース野郎、耕平は黒。

そして、皆を癒してくれる沙梨奈は、緑。

どれもが、美咲を彩る色になってくれればいいんだけどな。

ミーンミーン。蝉がやかましく鳴いている。

少ない命の中で、一生懸命に鳴いている。
季節は確実に夏の色を感じさせていた。