「裕也」

学校に向かう途中に、誰かに声をかけられた。俺は振り向くとそこには大地がいた。

「大地か?おはよう」

「ちょっと話したいことがあってな」

そういえば、通学途中に大地に会うなんて初めてだな。

「何だよ話したいことって?」

すると、大地は大きく息を吸ってから次の言葉を紡いだ。



 
 
 
 
 
 
 
「…莢未には謝ったのか?」


「……おいおい大地。莢未は死んだって……」

「裕也。俺は気付いてる。莢未は沙梨奈だ」

聞き間違いだよな。だいたい大地が気付く訳無いよな……。

「またそんな冗談を…」

「簡単な言葉のアナグラムだろ?俺も耕平の言葉で気付いたんだがな」

「……そっか。気付いちゃったのか。ま、大地の読み通り、沙梨奈は莢未だったよ」

ったく莢未の奴。あんな簡単な仕掛けにするから他の奴にばれるんだよ。俺は、心の中で莢未に悪態をつく。