今日は、終業式。いちようこの電車に乗るのもご無沙汰となる。つまりは、渚に会えるのもご無沙汰となるのだ。

だから俺は、渚に美咲の目のことを思い切って聞いてみたのだ。

「去年の春くらいからだったかな?美咲が目が痛いって言い出したのはさ」

「去年の春から……」

「そう、私とお弁当食べてる時に急にね。その時、病院の先生が言った言葉、今でも覚えてる」

渚は辛そうな顔をしている。

「な、何て言ったんだよ?」

「あなたの目はもう近いうちに光を失います、だってさ。すごく淡々と言ってたんだよ、その医者」

確かに、美咲は、いつか光を失うと言っていた。

だけど……。そんなのずっと先のことだと思ってた。

「……裕也ん。そのペアリング、飾りじゃないんでしょ?」

「当たり前だろ」

少し、怒気の意味を含めて渚を睨む。これは、俺が美咲を守っていく証なんだ。