「ここが、星見ヶ丘公園だよ?」

「そっか、ありがと」

俺は、美咲に御礼を言った後、ブランコに乗った。久しぶりの感触が妙に心地いい。

「…私、ブランコ好きだったなぁ」

美咲も笑いながら、俺の隣のブランコに乗って、漕ぎ出す。

それに負けじと俺も勢いよく、体を揺らしてブランコを漕ぎ始めた。

「…裕也。小さい頃さ、ブランコ漕いでれば、あの空に届くんじゃないかって思わなかった?」

美咲は、浴衣な為か漕ぎにくそうにしながらも、俺よりも空に近づいていた。

「…小さい頃はな」

「いつからだろうね?そんなの無理だって、決め付けたのはさ」

キー…キー…。

ブランコの軋む音だけが誰もいない公園に響く。

「後、星に変な名前付けなかった?」

「……それはない!」

「あれ?それは星見ヶ丘限定かな?」

首を傾げる美咲を見て、ふと思う。確かに、これだけの星が見られれば、そんなことを考えるのかもな。

「ねぇ裕也!あの彦星と織り姫の下の星座の名前、裕也座と美咲座にしようよ!」

ニコニコ笑う美咲に俺は絶句する。

「…何かの劇団の名前かよ。美咲って、完璧な彼女だと思ったけど、違ったな。ネーミングセンス0」

俺は大袈裟に手を肩の高さまであげる。