「あ、だから最近は、この提灯に入れて流すんだよ?」

美咲が提灯を見せてくれた。だが、それはどこから見ても、手づくりだということが分かった。

「これ…美咲が作ったのか?」

「うん。祭側は提灯までは用意してくれないからね。三、四日くらいで作れちゃったよ」

美咲は、そう言いながらも嬉しそうに提灯の中に笹の葉を入れる。

「じゃあ…裕也。提灯持って。一緒に流そう?」

美咲の指示通り、俺が提灯を持った。そしてその手の上に美咲の手が重なる。

見れば、ぱらぱらと他の提灯も川を下っていた。

「じゃあ行くよ?裕也!せーの!」

美咲の合図で俺達は一緒に手を離す。支えを失った提灯は、静かに川を流れていった。

「裕也は何をお願いしたの?」

「そういう美咲は?」

「……秘密!」

「じゃあ俺も秘密!」

そして、俺達の提灯は完全に姿が見えなくなった。

「じゃあ裕也、帰ろうか?今日はすっごく楽しか……」

「美咲、この先に公園あるよな」

前、星見ヶ丘から帰る時に見たことがある。あそこも、かなり多くの星が見えるはずだ。

「へ?あ…あるけど…」

「そこに行かないか?」

「……裕也から遊びに誘ってくれたの初めてだね?いいよ、じゃあ行こっ?」

美咲は楽しそうに、歩いているが、俺としては心臓がバクバクだった。

上手く…いくかな?