ドーン!

その時、空に大きな花が咲いた。

「あれ?花火なんか上がるのか?」

「あ、言ってなかったね。笹の葉流しの前に大きな花火が上げるのが昔からの習わしなんだよ?たぶん、この後も結構続くと思うよ?」

美咲の言葉通り、その後も空には綺麗な花が咲き続けていた。

「あ、裕也。今の内に願い書いちゃってよ。はい!」

まだ、願い決めてないんだけどな……。俺は美咲から水色の短冊とペンを受け取ったものの、しばらく考え込んでいた。

「間もなく、笹の葉流しを行いますので、参加者の皆さんは用意をして下さい」

心のこもってないアナウンスが俺をせかす。

マジかよ…。何か、何か書かなくちゃな…。

俺は、目をつむって、自分の一番思っていることを書いた。

「裕也、書いた?」

「ああ、書いたよ!」

「じゃあ、流そう?あのね、この笹の葉に二枚いっぺんに包んで、川に流すんだよ」

そう言うと、美咲は俺から短冊を取って、それを笹の葉で包み始めた。

「これ、沈まないのか?」

いくら笹の葉で包もうが、所詮中はただの紙だ。その内沈んでしまうだろう。