「じゃあ裕也。星見ヶ丘で待ってるから」

俺達は一旦帰ってから、また後で合流することになった。

俺は制服のままでいいじゃないかと思ったけど、美咲が女には準備がいるとか言って、話を聞かなかった。

ったく。本当はこのまま行きたかったんだけどな。家に帰ると陽菜がまた何かと茶化してくるからな……。

まあ、美咲が言うなら仕方ない。俺は重い足取りで家に帰った。

「ただいま」

ドアを開けると、陽菜が首を傾げて俺を見てくる。

「あれ、お兄ちゃん?美咲ねぇとどっか行くんじゃなかったの?」

「何か準備がいるんだってさ」

「お姉ちゃんと別れたら許さないからね!」

これが、俺が家に帰りたくない一番の理由だ。
陽菜はもう、俺以上に美咲にベタ惚れだった。

毎日毎日、美咲とのことを聞いてくる。もう完全に俺なんて眼中にない。

それがちょっぴり切ない。

俺は私服に着替えて、髪を軽く整えてから家を出た。