「今日、星見ヶ丘でお祭りがあるんだよ。それに美咲と行かないの?って聞こうとしたんだよ」

「ご心配しなくても、ちゃんと行きますよ」

星見ヶ丘祭り。七夕の日に毎年、催されてる祭らしい。この祭の目玉は、“笹の葉流し”というもので、二人の願いを笹の葉に載せて流すというものだ。

俺はそういうメルヘンチックなものは信じない性質だけど、美咲がどうしても行きたいと言うのなら仕方がない。

「美咲ね、裕也んと付き合ってから、本当に毎日楽しそうな顔してるんだよ?」

「……はは。その分、嫉妬とかやばいから」

二ヶ月前に、莢未とキスしたことがばれた時の美咲はひどかった。

『あれ…?裕也の服から知らない女の香水の匂いがする…。ねぇ、誰なの!?私じゃ不満なの!?』

俺は激しく首を揺らされて、吐きそうになったのを今でも覚えてる。

「愛されてる証拠だよ。じゃあ裕也ん。部活頑張ってね?」

河岸に着いた渚は、俺に手を振ってから降りていった。

そして、アルティメットの大会で好成績を収めた俺らは、アルティメット同好会といった形で認められた。

俺は、ふと窓から見える景色に目をやる。空からは、眩しい光がこれでもかという程に道を照らしている。

「…季節は流れてるんだなぁ」

今日は七夕。この天気なら彦星と織り姫も無事に会えそうだな。