「よし、塗り終わったから少し時間置くね。飲み物持ってくるからこのリストから好きなの選んで」
「うーん、じゃあオレンジジュースで」
木崎くんから見せてもらったリストからオレンジジュースを選べば、木崎くんがフハッと笑った。照れたときの首を傾ける笑いとは違う、くしゃくしゃの笑顔。
「やっぱりオレンジジュースなんだ。相変わらず見た目にあってないよね」
「え、貶してる?」
関わりの少なかった中での数少ない会話を覚えていたらしい木崎くんに心臓が飛び跳ねて、それを悟られないようにじろりと見つめる。
「違うよ。見た目は大人っぽいのに子供っぽいの好きなんてギャップがあって可愛いなと思って」
「じゃあオレンジジュース入れてくるから少し待ってて」そう言った木崎くんは奥へと消えていく。·····人の気持ちを知らないで。
「·····言い逃げなんて卑怯すぎ、」
やっぱり木崎くんは変わった。あんなに平然と私を惑わすことばかり言う木崎くんなんて知らないキャパオーバーだ。