「だから、真崎さんの『可愛い』は信用しなくていいけど、俺の『綺麗』は信用してってこと」



お世辞だってことはわかっているのに、思わず顔が熱くなるのを堪えきれない。


私も少なからず大人になったのと同様に、木崎くんだって大人になっている。それも私より格段に。



「木崎くんも昔からかっこよかったけどもっとかっこよくなったよ。しかももう社会人として自立してるなんてすごいと思う」


自然と零れたのは心からの本音だった。


鏡に映る私の顔はまだ少し赤くて、この熱が引くまでは木崎くんが視線をこちらに戻しませんようにと願ったのに、私の言葉を聞いた木崎くんと鏡越しに目が合ってしまった。


鏡に映る木崎くんは「俺なんてまだまだだから」と言って首をほんの少し傾けて笑う。


その笑顔にきゅんとしてしまった私はやっぱりチョロいのかもしれない。