「俺は杏寿ちゃんが高2の頃から知ってるけど、高校のときの伊澄ってどんなんだったの?やっぱり当時からモテてたでしょ?」

「それはもう半端じゃなく。高校生の時点で既に垢抜けてましたもん」

「いや大袈裟だって」


私の言葉に木崎くんが謙遜するかのように笑って否定する。人気者でなんでもできるのに驕り高ぶらずに謙虚なところも、照れ笑いのときにちょっとだけ首を傾けるところも変わってない。

相変わらずかっこいいなって一瞬見惚れてしまっていた。


「あーモテまくってる伊澄想像できるわ。2人は仲良かったの?」

「…ああ、普通っすかね。時々話すくらい?」

「うん。まあ私と木崎くんでは世界が違ってたというか」



いつも人の輪の中心にいてキラキラしていた木崎くんと、わいわいした大勢の集まりが苦手で遠目から見つめていた私。あまりにも距離がありすぎた。



「えー?世界が違うって杏寿ちゃんも可愛いじゃん」


身に余る真崎さんのお世辞に、サラッとこんなことが言えるなんてやっぱり私よりも大人だなぁと思っていれば、木崎くんがどこかムッとした顔で「セクハラですよ」と言う。