一瞬遠のきかけた意識をなんとか繋ぎ止める。視界に映るのは体育館の天井で、クラクラした頭でも周りのざわめきはなんとなく感じていた。


「大丈夫!?あんまり勢いよく立っちゃだめよ!?」


先生の言葉に従おうとして、足がジンジンと熱を持っていることに気がついた。どうやら倒れるときに足を盛大に捻ってしまったらしかった。


「·····せんせい、すぐには立てそうにないです」

「足捻っちゃったのね、大丈夫、無理はしなくていいからね」


先生は安心させるようにそう言ってくれるけれど、いつまでもこうしていられない。早くなんとか立ち上がらなきゃ、そう思っていたときだった。



「───っ先生、俺が保険室まで運びます」

「木崎くん?」

「俺保健委員なので」


男子コートにまで騒ぎが届いていたのか、息を切らしてやってきた木崎くん。そしてなんの躊躇いもなくお姫様抱っこで私を持ち上げた木崎くんに、心臓が飛び跳ねた。


周りの女子の黄色い声が聞こえなくなってしまったように、その瞬間私は木崎くんしか見えなくなった。