少ししてからまた木崎くんがやってくる。真崎さんがさっき今も好きじゃないの?とか言ったから少し意識してみてしまう。


「真崎さんから飛びっきり可愛いくしてやってって言われたけど、今日何か予定でもあんの?」


アイロンをコンセントに繋ぎながらそう尋ねる木崎くんの言葉に、さっきの真崎さんとの一連のやりとりを思い出す。未だに意図はわからないけれど。



「うん、今日夜合コンだから」

「えっ、合コン?」

「うん」

「ってことは彼氏はいないんだ?」


「いないけど」と答えれば、どこかホッとしたような顔で「そっか」と笑う。

ありえないのに、そんな顔を見せられると勘違いしてしまいそうになる。


「水篠合コン行くってことは彼氏欲しいの?」

「うーん、いい出会いがあればいいなとは思うけど、別に今すぐ欲しいとかは思ってないよ」

「本当に?合コン前にわざわざ美容室の予約入れといて?」


その言葉を聞いて、傍から見れば私は合コンに気合いを入れてるように見えてるのかもしれないな、と気づいた。そもそも美容室の予約を入れたのが先であって合コンが決まった方が後だからただの偶然なのだけれど。


それを説明すれば木崎くんはアイロンを髪に滑らせながら「なんだ」って気が抜けたように笑った。