「高校の時から思ってたけど、やっぱり水篠髪サラサラだね」

「え、そうかな?」

「サラサラのツヤッツヤだよね。杏寿ちゃんは髪質いいからねー」


木崎くんと真崎さんの2人ががりで髪を乾かす。綺麗に染まったミルクティーグレージュは透明感があって、この色にしてよかったと思った。

思えば、半分とはいえども私髪木崎くんに染めてもらったってことなんだよなぁ。

高校の同級生が知ったら羨ましがるだろうなってぼんやり考えて、どのくらいの同級生が木崎くんがここで働いていることを知っているんだろうかと思った。



「よし、じゃあカットは俺がするから伊澄はもういいよ。散らかってるとこ掃除しといて」

「はい、わかりました」


木崎くんが下がっていったのを見届けて、真崎さんが顎に手を当て何やら思案気な顔で私を見た。


「もしかしてさぁ、杏寿ちゃんって伊澄のこと好きだった?」

「!?」


なんの前触れもなく告げられた言葉に目を瞠る。私の反応を確認した真崎さんはニヤリと意味ありげに笑った。


「へぇ、なるほどねぇ。やっぱりか」

「え、なんでわかったんですか、」

「なんでってなんとなく?結構わかりやすいよ杏寿ちゃん」

「えっえっ」


それが本当だとすれば、もしかして木崎くんにもバレてたりする?·····いや、バレてないと信じたい。


「まあ伊澄は鈍そうだし気づいてなさそうだけどね。今も好きなの?」


木崎くんが気づいてなさそうという言葉にとりあえずはホッとする。まあ本当かどうかは分からないけれど。