「さあて、おふたりさん、まずは馬から降りてもらおうか」
指が手裏剣に触れた。先手必勝、といこうとしたが。
「シルフィス、俺がやる」
低くナーザが言って、シルフィスの指が止まる。
ナーザは、手のひらを上に向けてすっと顔の前に差し出した。
何を───の言葉は出なかった。ナーザの手のひらの上に浮かぶように、ふっ、と輝く光の球が出現して。
光球──いや、火花のように光が弾ける、これは──雷球。
ナーザは、くん、と指を折り曲げた。雷球は見上げる高さへと跳ね上がり、バチッ、と弾けた。
光が小さな矢となって四方に飛び散る。
一瞬の出来事だった。
眩い光は山賊たちをかすめ、流星のように闇に消えた。月明かりだけが、しん、と辺りを照らしている。
山賊たちは、誰も動けなかった。声も出せない。ひとりの足元には地面に穴が穿たれ、草に小さな炎が揺れていた。ひとりが盾にした木の幹には、縦に細く裂け目が刻まれた。
小いさな枝や葉がばらばらと落ち、ものの焦げる臭いがゆっくりと漂い始める。
「次は当てるよ?」
ナーザの声は、ひそりと夜気に通った。
指が手裏剣に触れた。先手必勝、といこうとしたが。
「シルフィス、俺がやる」
低くナーザが言って、シルフィスの指が止まる。
ナーザは、手のひらを上に向けてすっと顔の前に差し出した。
何を───の言葉は出なかった。ナーザの手のひらの上に浮かぶように、ふっ、と輝く光の球が出現して。
光球──いや、火花のように光が弾ける、これは──雷球。
ナーザは、くん、と指を折り曲げた。雷球は見上げる高さへと跳ね上がり、バチッ、と弾けた。
光が小さな矢となって四方に飛び散る。
一瞬の出来事だった。
眩い光は山賊たちをかすめ、流星のように闇に消えた。月明かりだけが、しん、と辺りを照らしている。
山賊たちは、誰も動けなかった。声も出せない。ひとりの足元には地面に穴が穿たれ、草に小さな炎が揺れていた。ひとりが盾にした木の幹には、縦に細く裂け目が刻まれた。
小いさな枝や葉がばらばらと落ち、ものの焦げる臭いがゆっくりと漂い始める。
「次は当てるよ?」
ナーザの声は、ひそりと夜気に通った。