「馬鹿ね」
つん、と尖った声がした。リシュナの緑色の目が、シルフィスを強く見つめていた。
「それ、騙された、って言うの。共犯じゃないわ。初めから、あんたに罪を着せるつもりだったのよ」
意外だった。自分を嘘つきと罵ったリシュナが。
「……ディアナムが『黒白の書』を盗んで城を逃げ出した──って噂を聞いて、僕もやっと悟りましたよ、嵌められたって」
母が死んだあと、姫王の情けを拒みもせずに城で暮らし続けたディアナム王子も、ネイロフにとっては復讐の対象だったのかもしれない。
薄く笑ったあと、そんなつもりはなかったのに、ポロリと、言わなくてもいいことが唇からこぼれた。
「もっと早く城を出れば良かったと、後悔した……」
ずっと悩んでいたのだから。
「辛いお立場だったんですね」
しみじみとユーリーに声をかけられ、ハッとする。急いで、
「さあ、君の番だ」
言って、勢いよくナーザをふり向いた。
つん、と尖った声がした。リシュナの緑色の目が、シルフィスを強く見つめていた。
「それ、騙された、って言うの。共犯じゃないわ。初めから、あんたに罪を着せるつもりだったのよ」
意外だった。自分を嘘つきと罵ったリシュナが。
「……ディアナムが『黒白の書』を盗んで城を逃げ出した──って噂を聞いて、僕もやっと悟りましたよ、嵌められたって」
母が死んだあと、姫王の情けを拒みもせずに城で暮らし続けたディアナム王子も、ネイロフにとっては復讐の対象だったのかもしれない。
薄く笑ったあと、そんなつもりはなかったのに、ポロリと、言わなくてもいいことが唇からこぼれた。
「もっと早く城を出れば良かったと、後悔した……」
ずっと悩んでいたのだから。
「辛いお立場だったんですね」
しみじみとユーリーに声をかけられ、ハッとする。急いで、
「さあ、君の番だ」
言って、勢いよくナーザをふり向いた。