シルフィスを占ったのと同じテーブルに、ユーリーはカードを並べていた。
　そばにルチェが心配そうに立っている。
　カードをめくろうとしたユーリーの手を、ナーザが軽く押さえたところだった。
「……もういいよ、母さん」
　手からカードを落とし、ユーリーは両手で顔をおおった。
「ごめんね。気持ちが乱れて、カードが読めない。少しでも助言があげられれば、と思ったんだけど……」
「どういうことか説明して」
　固い声で割って入ったのは、ナーザの肩口に浮いているリシュナだ。
　ルチェも口をそろえる。
「あたしにもちゃんと教えて。あたし、もう子どもじゃないよ」
　ユーリーは顔を上げ、疲れた表情で微笑んだ。
「ごめんね。占いで示されたものごとが、すべて定まってから話そうと思っていたの。……オスカからの手紙が届いて、これですべてのピースがそろった」
「手紙、オスカ兄さんから？」
　テーブルの端に置かれていた手紙をルチェがつかみ取る。リシュナがルチェの後ろに回り込んだ。
　読み進めるうち、リシュナが顔色を失くし、ルチェが、
「……え、気持ち悪い……」
　と声を上げる。